必ずしも状況が良くなるとは限らない…先輩SEの「転職失敗」の実情

多くのSEが30代になると転職を考え始めます。しかし、転職をしたSE全員が以前の職場よりもいい転職先にたどり着ける訳ではありません。残念ながら「この転職は失敗だった」という結論になってしまう人もいるでしょう。

今回は「転職失敗」の実情を探るとともに、「転職失敗」に繋がる具体的なポイントや原因について深掘りしていきます。転職を決意する前の見直しとしてお役立てください。

 

転職後すぐのタイミングで不安を抱くのはよくあること

「転職失敗」を定義する上で、単に“転職後に感じた不安”を「転職失敗」と定義してしまうのは考えものです。なぜなら、そう感じること自体は決して珍しいことではないからです。

多くの転職者が新しく飛び込んだ組織や環境に何らかの不安を感じます。特にそのタイミングとして多いのは入社から程ないタイミングです。当サイトが30~40代のSEを対象にして行った「転職失敗に気付いたタイミング」のアンケートより、その事実を読み取ることができます。

 

 

【アンケート】転職の失敗に気付いたタイミングはいつですか?

1位:1ヶ月

  • 1ヶ月して、この会社のだいたいの仕組みを知った時ここでちゃんと成長できるかどうかを考えて失敗したなと思いました。(36歳男性)
  • 歓迎会や交流会など社内の親睦会が多く、良く言えばフレンドリーな職場だったが、人間関係が濃密過ぎ、体育会系のクラブを思わせるような上下関係で仕事を回していた。(41歳男性)
  • 初めて出社したときに、同じように仕事に慣れていない途中入社の人が多いこと、そして離職率が多いことを耳にしたから。(36歳女性)

最も多かったのは「1ヶ月」という解答でした。“会社の仕組み”や“社内の人間関係”を把握してきたタイミングで「転職は失敗だった」という結論に至ったケースが目立ちました。これらの会社の内部環境を把握するためには最低でも1ヶ月かかるようです。

2位:3ヶ月

  • 少し慣れてきて社内の色々な人と話しができるようになった頃に気付きました。(37歳男性)
  • 思い描いていたキャリアアップの道が断絶している事実に気が付いたため(37歳男性)
  • 自分の把握していた仕事内容とは違う事ばかりさせられたから。(41歳男性)

続いて多かったのは「3ヶ月」です。失敗という結論に至る理由は、「1ヶ月」と解答した人と大差はありませんでした。確信に変わるまでの期間に個人差があるのかもしれません。

 

2位:1週間

  • いわゆる「社風」が自分がこれまで在籍していた職場と違っていた。(44歳男性)
  • 同僚といい関係を気付くのが難しそうだと感じた(39歳男性)
  • 入社直後は家に帰れたが会社にはロクな研修がなく、いきなり責任ある仕事を任されたため。(36歳男性)

わずか1週間で転職を「失敗」と感じてしまった人もいます。「1週間」と回答した人の多くは“社風”や “人間関係における感覚的な部分”を違和感の原因として挙げていました。研修もままならないタイミングでの“無茶な仕事のアサイン”を失敗理由として挙げている人もいました。

 

 

 

 

3位:半年

  • このくらい期間が無ければ色々と判断が出来ないので(43歳男性)
  • 面接の際に資格手当が付くと聞いていたのに、付きませんでした。(46歳女性)
  • 大学のメンバーと集まった際に自分の会社がおかしいことに気付きました(34歳女性)

「半年」と回答したのは「違和感を覚えつつも半年は待ってみた」という人が多い傾向がありました。決定的な問題点が半年後に明らかになったケースや、当たり前だと思っていた環境のおかしさにふとしたきっかけで気付かされたというケースもありました。

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「もしかして失敗してしまったかも…」と感じた場合でも、入社した当初にありがちな“環境変化がもたらす漠然とした不安”で終わることは少なくありません。今までとは違う“仕事のやり方”や“会社のルール”に一時の不安を持ったものの、時間の経過とともに仕事やルールを覚えて環境に適応した結果、「いつの間にか不安が解消されている」となることはよくあります。

本当の問題は「時間で解決されない課題」に直面したときです。社風や勤務時間の不一致など、時間が経過しても変わることがない課題で転職失敗を感じた場合、きちんと状況を把握する必要がでてきます。つぎの章で実際に転職失敗に繋がった具体的な内容を解説していきます。

 

 

新天地に飛び込んだのはいいものの…転職失敗を結論づけた具体的な内容

転職者が「転職失敗」と結論づける具体的な内容には、ある程度決まった傾向が出やすいです。当サイトが行った「転職失敗の具体的な内容」のアンケートから経験者たちの声をみていきましょう。

 

【アンケート】転職の「失敗」の具体的な内容はどういったことでしたか?

 

1位:労働環境

  • マニュアルどおりにすることが求められて、自分の個性を出したり、新しいものを発表できないなど閉鎖的な社風だとわかったから。(36歳女性)
  • あらゆる雑用をさせられ、他にわかる人が居ないといわれて、連休だろうが、真夜中だろうが呼び出しがかかる。(47歳男性)
  • 残業の時は夜中12時を回っても帰宅できず、次の日も定時までには出社しなければいけなかった。連続で続いて体調を崩しそうになったから。(35歳男性)

最も多かったのは「労働環境」を転職失敗と感じた理由とする声でした。よりよい労働環境を求めて転職をするのですから理想とは程遠い労働環境に遭遇すれば「失敗した」と思うのも無理はありません。具体的には「社風が合わない」「無理な出勤体制」「残業の多さ」などが転職失敗を感じさせるポイントとして挙げられていました。

 

2位:人間関係

  • 理解の無い権力者が最も大きな問題です。能力が無くても理解があれば何とかなりますが、理解が無い権力者と一緒にやるには限界がります。要は合わないということになります。(37歳男性)
  • 仕事そのものにはかなりやりがいを感じますが、結局それを受け入れてくれる人たちがいないことがとてもつらかったです。仕事に対するスキルはあっても、結局人間関係が仕事の成果を大きく左右させることを思い知らされました。(39歳女性)
  • パワハラ上司の対応で、ほとほと嫌気がさしています。報連相をしろという上司でしたが、忙しくて報連相をできない雰囲気を醸し出し、いざ意を決していくと、「それは報告か!連絡か!相談か!どれだ!?」とまくし立て上げられ、説明しても「わからんやり直し」というようなことがよくあります。私だけなら、私自身の問題もあると思いますが、他の人もそうです(48歳男性)

 

続いて多かったのは「人間関係」です。転職理由としてよく挙がりやすい人間関係ですが、転職失敗を結論づける際にも大きな要因となりやすいようです。具体的な声を見てみると多くの不満の矛先は「理解のない上司」に向けられており、「認めてくれない」「パワハラがひどい」といった声が多く見られました。

 

3位:給与

  • 以前の仕事よりも給料が多いから転職したけれども、仕事量が以前の2、3倍くらいあって割に合わなかった(37歳男性)
  • 想定していたような収入が得られないため、今後の資金計画が狂った(38歳男性)
  • 最初に説明を受けていた給料額に比べて、どうみても安かった。(31歳男性)

「給与」を選んだ人の声では、入社前に具体的な金額をアナウンスされていたにも関わらず、いざ仕事を始めてみると「案内された額より少ない」「想定よりも仕事量が多く割に合わない」といった問題点があったようです。

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実際に転職先の労働環境・人間関係・給与が本当に劣悪な場合もありますが、これらはすべて転職前に高い理想を描いてしまいがちなポイントとも言えます。理想を求めて転職するのは悪いことではありませんが、期待値に届かないことで大きなギャップを感じてしまい、結果として転職失敗の判断に繋がってしまうのであれば本末転倒になってしまいます。

1位と2位になった“労働環境”と“人間関係”は、どちらも入社前に把握するのが難しい要素であり、入社後に感じるギャップが大きくなりやすいことが予想されます。「郷に入っては郷に従え」にならい、転職先としてその環境を選んでしまったことを受け入れ仕事を続けていくという選択肢もありますが、どこまで「郷に従う」のかはよく考えなければいけません。

上述したように入社から半年程度で転職失敗を感じてしまうのはよくあることですが、あまりにも長い期間「この会社で働くのは無理かもしれない…」という考えを持ち続けるようであれば、退職や転職活動を検討したほうがいい状況なのかもしれません。

これさえなければ…転職失敗の原因

転職の失敗自体は珍しいことではありませんが、それでもその企業を転職先として選んでしまったのは他ならぬ「自分」のはずです。ここで大切なことは、失敗の原因を知り、今後は同じ轍を踏まないように気をつけることです。

「求人票にウソの記述があった」「とにかく人が合わない会社だった」など不運による転職失敗もありますが、求人票を読み込むことやその会社の評判・取引先をしっかりリサーチすることなどをする事でその失敗は避けられた可能性もあります。

当サイトが行った「転職に失敗した原因」のアンケートで経験者たちの声を見てみると、「転職失敗は“会社”か“自分自身”に原因がある」と考えている方が多いことがわかりました。どうやら「“双方のミスマッチ”が原因で転職失敗がした」と考えている方は少ないようです。具体的なアンケートの詳細を見てみましょう。

 

【アンケート】あなたが転職に失敗した原因は何ですか?

 

 

1位:リサーチ不足

  • 取引先や銀行、財務状況をリサーチしておくべきだった。(42歳女性)
  • 情報は求人誌やインターネットなどで十分に得られるはずです。しかし、今回私が失敗したのは自分の思い込みが強かったことにあります。現実を注視していなかったために発生した、人為的ミスだと思います。(39歳女性)
  • さっと調べた情報での就職活動だったので、実際入社してみないとわからない部分も多いですが、最近は元社員が社内の状況をコメントできるサイトもあるので、情報が集まっているサイトをうまく利用していれば、転職を失敗することがなかったのではないかと感じました。(42歳女性)

1位は「リサーチ不足」でした。問題は会社にあるものの、「十分にリサーチをしておけば事前に把握できたはずであり、その努力を怠ったのは自分自身である」という声が目立ちました。

 

2位:企業側の求人票のウソ

  • 求人票だけでなく、面接でも質問をしたときの返事の内容が全くウソだということが、入社して初めてわかった。もっと会社の評判などを調べておけばよかったです。後で知りましたが、インターネットの掲示板でブラック企業だと実名で出ていたのを見つけてショックでした。(36歳女性)
  • 残業がほとんどないと説明されていたが、実際には残業しないとこなせない仕事量があり、部署によるかもしれませんが、多くの人が残業している現状があった。(34歳男性)
  • ブラックな環境ゆえ、退職者が絶えず求人票に誤魔化しを入れていた。(59歳男性)

続いて多かったのは「企業側の求人票のウソ」です。驚くべきことに「企業側が提示した噓の求人内容にだまされてしまった」という声がたくさん見られました。

 

 

3位:自分の力不足

  • 新卒で入った方を見ているとバリバリ仕事をこなしているので、仕事ができないのは自分自身のできなさが原因だと自覚しています。給与やネームバリューと自分の力があっていません。(26歳女性)
  • 良い条件の企業から断られてしまった結果なので(43歳男性)
  • 自分のスキルが足りなかったため、このような仕事にしか就けなかったと思うので。(26歳男性)

「自分の力不足」を選んだ人の声では、「自分の力不足から理想の転職先を選べなかった」もしくは「力不足で転職先の仕事についていけなかった」という声が見られました。自分のスキル次第で、転職しても後悔してしまうケースが発生してしまうようです。

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多くの方がリサーチ不足や自分の力不足など、自分自身の問題を転職失敗の原因として挙げていました。問題があるのは会社でも、結局その会社自体を選んでしまったのは自分自身です。もう少しスキルがあれば違う選択肢があったかもしれない…と後悔している方も見られました。

一方で悪質な企業が求人内容を偽る「不可抗力」なケースもありました。次第にこのような会社は淘汰されていくでしょうが、現状としては警戒しながら転職先を探すしかなさそうです。

 

 

転職失敗を回避するためには?

そもそも転職失敗が起こるメカニズムは、働く上で2つの価値観のズレが起きるからです。

 1)会社の価値観

 2)自分の価値観

 

この2つの価値観が共通していれば、働く上でズレが起きないので気にする必要はありません。例をあげると「入社時の条件どおりの勤務時間や給与で働く」や「応募した職種で働く」などです。

問題になるのが2)で“自分が譲ることができない・大切にしている価値観”がある場合です。入社後に妥協ができるのであれば問題ありませんが、もし揺るがない価値観なのであればその自分の価値観を軸にして転職先を探すことになります。例をあげると「給与は手取り30万円以上がいい」や「必ず定時に退社したい」などです。人によっては「私服で働きたい」や「フランクな上司の下で働きたい」などもあるでしょう。

「転職で失敗しないために何をリサーチするべきか?」の答えは、会社の価値観と自分の価値観が合っているかを確認するための「社内の実情」です。転職活動で手っ取り早くリサーチする手段として「面接の場で“自分の価値観”に関する質問をする」のが有効です。面接で質問をして会社の実情をリサーチすることにより、会社と自分の価値観の相違を防ぎます。

会社と自分のミスマッチを防ぐ質問の例

質問する内容は些細なことほどした方が良いです。下記に例を紹介します。

◆労働環境

 

・「白いシャツ以外の服装も大丈夫ですか?」

→業界によって服装の常識が違うことがあります。

 

・「昼食は外で食べられますか?」

→会社によって社内以外で昼食が食べられないことがあります。

 

・「残業はどれぐらいありますか?」

→配属される部署や携わる業務によって残業時間が変わってくることがあります。

 

◆人間関係

 

・「社内で会話はどれぐらいありますか?」

→会話の量で人間関係の雰囲気がイメージしやすくなります。

 

・「月に何回ぐらい飲み会がありますか?」

→飲み会の頻度で定時後に必要なコミュニケーションの量がわかります。

 

・「職場の人はお互いになんと呼び合いますか?」

→現場の考え方が人間関係に影響していることがあります。

 

◆給与

 

・「毎年どれぐらい給与が上がりますか?」

・「給与テーブルはどのような仕組みになっていますか?」

→従業員の給与がどのように決まっているか知ることができます。

 

・「人件費の予算をどういう風に設定していますか?」

→従業員の給与の考え方を知ることができます。

 

「こんな質問をして悪印象を持たれないのか?」と不安になる方もいるかもしれませんが、そういう質問ほど、自身のモチベーションに影響をもたらす要因だったりします。転職のミスマッチを防ぎ、新しい環境で自分の思い通りの働き方を実現するためにも遠慮なく質問しましょう。

 

最後に、転職を成功させるために忘れてはいけないことは「面接において会社と面接者は対等」ということです。会社側だけが評価するのではなく、自身も会社を品定めする場であることを忘れずに自信を持って堂々と振る舞ってください。

 

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